アスリート食として注目を集めるジビエ。中でも特に低カロリー、低脂肪、高たんぱく、高鉄分という特徴をもつ鹿肉を食事に取り入れることでパフォーマンス向上が期待できるといわれています。そこで県内のアスリートへのさらなる鹿肉普及を目的とした調理体験会を愛媛調理製菓専門学校で実施しました。
対象は愛媛マンダリンパイレーツの選手6名(10代~20代)で、全員が寮生活で自炊をするなど食事については自己管理をしているとのこと。今回は愛媛調理製菓専門学校の先生方(栄養士、調理師)に1食分の献立の中に鹿肉を組み込んだレシピを作成していただき、選手自身で調理を行うこととしました。
使用する鹿肉は愛南ジビエで解体処理されたモモ肉約4㎏で、生産者の木村さんも参加して近年の駆除の現状や鹿肉の特長についてお話されました。
実習担当の永野先生からレシピの説明を受けた後、選手の皆さんは各調理台に分かれてカフェ科の学生さん達のフォローを受けながら準備された材料を手際よく調理していきます。
【鹿肉と野菜のカレー炒め】
カレー味のスパイシーなタレに鹿肉を短時間漬け込むことで、肉の臭みが軽減されるだけでなくしっかりと味付けされ食べやすくなります。玉ねぎ、きのこ、パプリカ、ニラなど豊富な栄養価をもつ野菜類をたっぷり摂ることができるメニューです。
そのほかに、【根菜と鶏団子のお味噌汁】【豆苗とちくわのレンジナムル】【もち麦ごはん】を同時に調理し、鹿肉の特長をうまくサポートする食材を使ったバランスのよい献立が完成しました。
思い思いの盛り付けをした後、全員で試食を行いました。選手の皆さんからは
「鹿肉は牛肉のような味でとても食べやすかった」
「臭いと思っていたが、とても使いやすくて後味がさっぱりしている。手軽に作れるレシピなのでよかった」
「味つけがタレにつけておくだけで簡単なので作りやすい」
「カレー風味の濃い味が気に入りました」
「脂が少なくて良かった。みんなで料理できてとても楽しかった」
といった感想が寄せられました。
レシピを作成した永野先生からは
「以前から鹿肉は食べやすいと思っており、知らない人が食べたら牛肉だと思うくらい普通に活用できる食材です。中心部までよく加熱することは必要ですが、炒めすぎてしまうと「固い」と敬遠されがちなので、今後は料理教室や講習などで「炒めすぎない」ことを伝えていく必要があります。また、ブロックで調理することは家庭では難しいかもしれないので、しゃぶしゃぶ用やすき焼用などの薄いスライスなら使いやすく、普及しやすいと思います。アウトドア志向の若者などジビエに興味がある人たちへの訴求も効果があると思います。」
とのご意見をいただきました。
選手の皆さんも鹿肉を一気にフライパンに入れて豪快に炒めたりせず、1枚づつ丁寧に焼いており、バーベキュー感覚で楽しく焼くことに慣れているようでした。日々の練習やコンディション管理で大変な中でも、今後の食事の中に無理なく鹿肉を摂り入れていただける良いきっかけとなりました。
今回のレシピを含む、アスリート向けの鹿肉活用献立は愛媛調理製菓専門学校のホームページ等を通じて公開する予定です。