愛媛県農林水産部農産園芸課

イノシシ脂を活用した石鹸を商品化(四国中央市)

 ジビエファイル  2020年12月03日

四国中央市新宮地区担当の地域おこし協力隊で、えひめ地域鳥獣管理専門員でもある青木藍さんが、捕獲したイノシシの有効活用のために構想していた石鹸の商品化を実現させました。
いくつかのメーカーと折衝した結果、小ロットオーダーが可能な福岡県の業者にOEMを依頼。2020年9月より販売を開始しました。

採取したイノシシの内臓脂肪を専門機関で成分分析した後、その証明と原料となるイノシシ脂を送ると、約2週間で製品化されます。100個のせっけんを作るために必要なイノシシの内臓脂肪は約1kgで、良質な個体であれば3~4頭で十分とのこと。イノシシの脂のみを使用するのではなく、実際にはオリーブ油やパーム油など、化粧品として有効なさまざまな原料を加えて作られます。

イノシシ脂は浸透保湿力が高く、ほぼ無臭のため、バームやクリームなどの化粧品には適しています。原料がまるごと天然由来ということも、自然派志向の消費者からは注目されています。今回は数回のサンプリングで、最も気に入ったというラベンダーの香りをほのかにつけました。
捕獲後に破棄される内臓の利活用としてせっけん作りに着目した青木さんですが、2018年の着任後、「ハンドメイド石けん協会」による手作り石鹸教室に参加したことで、自身でもせっけん作りのワークショップを開催しました。豚のラードを使った石鹸があることを知り、地元の特産品としての可能性を感じたと言います。

「まずは自分が使ってみてその良さを実感していたので、商品化したいと思いました。捕獲した肉は食べてもらおうとしてもどうしても敬遠されます。こうした商品ならさまざまな世代の人に広く利用してもらえますし、鳥獣害についても知ってもらえると思います。」
ナチュラルなパッケージにあしらわれた地元の伝統工芸品である水引のアクセサリーは地元の小中学生「水引ガールズ」が制作したもので、若い女性にも手に取りやすい商品となりました。

「この石鹸を手に取ることで、鳥獣害が身近な問題であることと、狩猟への理解と関心を持ってもらいたいと思います。」と言う青木さん。地元猟友会のメンバーとともに、積極的に駆除活動に参加する傍ら、自身がイラストも描いて制作した「地域で取り組む鳥獣害対策」パンフレットからも、その真摯な思いがしっかりと伝わります。

今回の石鹸は11月末でほぼ完売となり、2021年には製造を再開する予定。
1個1500円で、所属する四国中央市役所政策推進課、また新宮公民館で販売されています。