えひめ獣肉加工品開発ものがたり[生ハム] | えひめジビエファイル えひめのジビエを知りつくす食べつくすサイト

愛媛県農林水産部農産園芸課

えひめ獣肉加工品開発ものがたり[生ハム]

 ジビエファイル  2017年10月30日

若きメダリストシェフが監修したイノシシ熟成生ハム

 

↓愛媛県産ジビエ加工品の商品化までを動画でご紹介しています。

2016年からスタートした愛媛県獣肉加工品開発プロジェクト第二弾では、鹿肉燻製商品の試食会でも、全日本司厨士協会愛媛県本部のシェフの多くからイノシシ肉の生ハムの商品化を期待する声があがったことから、上島町産の熟成猪肉を使った「業務用の本格派生ハム」の商品化が新たなテーマとして決定。プロジェクトはスタートしました。


今回、愛媛県のプロジェクトに協会から指名されたのは神原佳考氏。大西町で仕出し料理の老舗、旅館としても知られる「ますや旅館オーベルジュ」の神原氏は、2016年にドイツエアフルトで開催された「第24回世界料理オリンピック」に日本代表として出場し、個人部門で見事銅メダルに輝いたスーパーシェフ。司厨士協会愛媛県本部でも教育指導部長として多くの若手の技術研鑽をサポートしています。実際に協会員とともに、上島町の処理施設を訪れ、その熟成技術を一から目の当たりにしました。熟成肉の臭みのなさ、柔らかさへのお墨付きはもちろん、「優れた食材を、さらにもうワンランク上へと押し上げる努力はすばらしい。」と感銘をうけ、上島ならではの新しい商品づくりの監修を担うことになりました。

上島町獣肉加工会が手がける猪肉の特長はすばり「熟成」。捕獲後、熟成させるのに十分な状態かどうかを厳しく見極めてから受け入れし、内蔵を取った後は専用の貯蔵庫で約14日間熟成させてから解体を行っています。手間もコストもかかる熟成にこだわる理由は一体何なのでしょうか。
上島町獣肉加工会の尾野村孝会長は、外国航路船の料理長という経歴をもっており、食材への一切の妥協がありません。原料の見極めはもちろん、どのように保存すれば最高の状態で料理にできるか、という食肉の扱いについての知識が豊富でした。加工会は平成22年に同じような外国航路の料理長経験者や、イノシシの捕獲、精肉のプロなど、加工会には島のイノシシを最高の状態に仕上げる専門家が集り設立されました。何百頭もの解体を進める中、試行錯誤の末「10日以上かけないと、イノシシは本当の肉質を取り戻さないんです。ゆっくりと、弾力のある柔らかい肉に熟成していくことこそ、上島ジビエの基本」とし、現在、多くのシェフからその肉質を評価されることにつながりました。


神原シェフをはじめ、本田会長以下協会の役員が加工会での精肉現場で意見交換をするほか、度重なる打ち合わせがスタート。協会役員も上島町獣肉加工会の精肉技術の高さと熟成肉を高く評価し、熟成肉ならではの商品開発を検討しました。神原シェフも試行錯誤を重ね、肉の本来の旨味を生かした商品開発に取り組みました。
愛媛県食品産業技術センターの金本直晃研究員によると、生ハムの成分分析の結果、熟成肉に含まれる旨味成分が生ハムにすることでさらに際立つことがわかり、さらに魅力がアップすることに。

2017年1月に行われた司厨士協会愛媛県本部の新年会において開催された県産獣肉試食会において、生ハムの試食品が初出品され、多くの協会員から高い評価を受けました。試食会では、これら神原シェフ考案の加工品に加えて、大和屋本店篠崎シェフ、ふなや手塚シェフ、東京第一ホテル上野シェフによる上島熟成イノシシのオリジナル料理が発表されました。

また、モモ肉で仕上げた「生ハム」は、協会の賛助会員でもある三重県の松阪ハム社長の矢倉正任氏からも高い評価を受け、「イノシシのハムの商品化に取り組みたい」との申し入れがあり、業界でも高い技術を持つ食品加工会社のバックアップ体制が整いました。
矢倉社長曰く、松坂ハムの社内でも、獣肉の生ハムを作るのには賛否があったとのこと。ただ、全国の鳥獣被害に悩む農山村を活性化する意味でも十分取り組む価値があるテーマとして同製品の商品化を決定。その後も、社長は自ら上島町に度々足を運ばれています。

なお、製品になりにくい部位や、骨などの未利用部分を使った試作も始まっています。これまでとは違った「美味しさ」をアピールできる商品として、骨と骨周りの旨味の強い肉で作る「コンソメリエット」やモモを使ったハムを利用した「ジャンボンペルシェ」などのレシピが完成。させ、愛媛県食品産業技術センター成分分析等を重ね、神原シェフ監修のジビエメニューとして、業務用レトルト加工品として町内の飲食店等でも観光客などに提供していくことになりました。

獣肉、加工品の販売の窓口は、上島町農林水産課の森崎洋介氏。「島の営業マン」として生ハムの販路拡大を目指して奔走しており、多くの協力を得て生まれた「島の宝」をより広く普及していけるよう、奮闘しています。上島町熟成イノシシの生ハムは、業務用の足1本のブロックや、個人消費向けの少量のスライスパックなどを取り揃えて、県内ホテル、結婚式場、フレンチレストラン等への営業活動、地域イベントの開催等の結果、各方面への提供が始まっています。