愛媛県農林水産部農産園芸課

えひめジビエが食べられるお店『カフェレストラン TOMMY』

 ジビエファイル  2022年12月08日

JR予土線・松丸駅を出るとすぐ目に入る老舗のカフェレストラン「TOMMY(トミー)」。オーナーシェフの中宇さんと鹿肉の出会いは幼少期に遡ります。先代でもあるお父さんが捕獲して解体した肉を食べさせてくれる機会が多かったものの「血抜きが不十分で硬く、とにかく鹿は臭いという思い出しかなかった」と言い、松野町を通じて「地元の鹿肉をメニュー化してほしい」という依頼を断り続けていたそうです。

ところが近所の民宿で偶然食べた「鹿肉のおでん」があまりにも美味しく、その肉が森の息吹で解体処理されたものと知り、それまでの先入観を覆す素晴らしい品質に驚きます。さっそくビーフシチューのレシピを鹿肉に置き換え、試作を重ねて「トミーの鹿シチュー」を完成させました。

料理はすべて独学という中宇シェフ。アバラ骨や筋肉などを12時間煮込んで取った一番フォンに香味野菜などを加えてさらに煮込み、ろ過することで鹿のエキスを取り出したら、ブラウンルーと合わせながら数日間かけて「鹿のデミグラスソース」を完成させます。味付けは岩塩とマデラワインのみでいたってシンプル。「上品な野性味」を感じるスッキリとした味わいのシチューになるのだそうです。

ふくらはぎの肉を焼き付け、たっぷりの赤ワインで煮込むことで香ばしさが溶け出した味わいに。ソースと合わせてからはあまり火を入れない「鹿肉をきちんと味わえるシチュー」になっています。

「知らずに食べたらあっさりしたビーフシチューだと思う人が多いですよ。」

たしかにもしビーフシチューなら胃もたれするほどのボリュームがありながら、食後はしつこさを感じないのはヘルシーな鹿肉ならではかもしれません。

レトルト化して道の駅等で販売したいというオファーがあるも「料理の鮮度が落ち、ソースの味が変わるのでできれば加工品としては提供したくない。この地に来なければ食べられない一皿にしたい。」という理由で断っているそうです。

ランチで人気の鹿肉コロッケのソースはサンマルツアーノトマトと鹿のエキスをミックスしたソースを添えてあり、風味豊かな仕上がり。脂の少ない鹿ミンチにはチーズを加えて食べやすくしています。

「肉も魚も血抜き次第で味わいが全く変わることは、小さい頃から身にしみてわかっている。森の息吹は本当に安定した肉質のものを出してくれるので、安心して使うことができます。」

カフェレストラン TOMMY
https://www.facebook.com/ichirou.tommy/

愛媛県北宇和郡松野町松丸227-2
0895-42-0143

営業時間/11:30~14:00/18:00~23:00
定休日/水曜日