ジビエファイル
2022年01月07日
令和元年度にえひめ地域鳥獣管理専門員に認定された越智今治農業協同組合グリーン大西所属の田中和正さん。果樹の指導員として30年以上のキャリアをもつ大ベテランの田中さんは松山市のみかん処である北条の出身。今もご両親はみかんを栽培しているそうでまさに柑橘栽培のプロでもあります。
鳥獣管理専門員の講座を受けたことで、今まで見えなかった「目のつけどころ」が見えるようになったと言います。電柵を設置済みなのに容易に破られる些細な原因がひとつひとつ見えてきたことで、不備や修正点が明確になり、「せっかく守りを固めているつもりでも十分ではないよ、もっとポイントを押さえて防御しないともったいないよ、伝えることができるようになった」とのこと。
「大西地区でもこの10年以上で果樹園などの被害が深刻化し、これまでは猟友会に駆除を依頼してきたのですが、農家も猟師も高齢化しています。これからの地域のためには最低限“自分の園地は自分で守る”という意識を持ってもらうことが必要だと考えるようになりました。」
鳥獣害対策の勉強をしても知識を持っているだけでは農家さんには伝わらないため、具体的に「説得」できるスキルが必要だと感じているそうです。長年培ってきた農家さんとの信頼関係にも助けられています。
被害の相談があれば、すぐに駆け付けて点検をしてくれたり一緒に対策を考えてくれる、農家さんにとっては心強い存在の田中さん。「地域の農家さんにはまずは自らの園地を守る方法を考えてもらい、足りないところをひとつひとつ潰していくことでグループや地域全体の守りを強化していく。その上で攻める対策を考え、より効果的なサポートをしていきたいと思います。」
鳥獣害対策は、ただ柵を設置し、檻を置けば解決するというものではなく、様々な状況に応じた対策を打たなければほとんど効果がないと言われます。栽培する作物や立地条件によって何通りものアプローチが必要で、それらを農家さん一人一人に伝えていくためには、地域の農業を知り尽くした営農指導員のさらなる活躍が求められていると言えます。