29年度の事業では解体処理された食肉の流通促進や、それらを使った生ハム、燻製、ソーセージなどの加工食品の開発支援を行ってきましたが、その中で十分に活用できていない部位が『皮革』でした。
大三島(しまなみイノシシ活用隊)では地域おこし協力隊出身の重信さんを中心にイノシシ皮の利活用に比較的早くから取組み、事業化されていますが、松野町(森の息吹)では鹿革の有効活用に着手していませんでした。施設長の森下さんは「あまり他では見ないような、高付加価値の鹿革商品を作ってみたい」と話しており、具体的にどういう商品が考えられるか検討を進めていくことになりました。
解体処理の際に出る毛つきの皮は、そのまま冷凍保存しています。枚数がまとまれば姫路のタンナー「姫路製革所オールマイティ」へ送付しており、その後の利用については森の息吹は関与していない状況とのことでした。鹿革を使った商品づくりにおいて、まずは鹿革がどのような状態なのかを見極めるため、オールマイティよりサンプルを送っていただくことにしました。
姫路市は平安時代に遡る皮革産業発祥の地として知られ、圧倒的な国内シェアを誇る革なめしの本場であり、オールマイティは全国から送られてくる皮を独自の技術で加工し、世界各国へ送り出しています。近年は有害鳥獣の革を使った商品開発の依頼も多く、関係者からの声かけで、森の息吹からも皮を送付していたとのことでした。
送られたサンプルは原料が蝦夷鹿であったため、イメージしていたよりもかなり大きく、実際の松野の鹿革とは別のものでしたが、想像以上に滑らかで柔らかく、しなやかなものでした。
このサンプルを元に、松山市内で高級ブティックなど多店舗展開している有限会社インセクトの柴田哲志社長、松山市出身で都内で活躍するデザイナー後藤田和仁氏等を交えて検討しました。
イタリアでは自転車のタイヤにつける「ハブリボン」が皮製であり、周辺商品(ポーチやサドルカバー、眼鏡ストラップ、ドリンクホルダー)を含めた商品展開も面白いのではないかという意見も出ましたが、やはり鹿革独自のしなやかさとエレガントな印象を活かして、ユニセックスのバッグで一度商品サンプルを作ってみてはどうかという意見がまとまりました。
しかし、サンプルを含め、バッグの製作を依頼できるところがなかったため、実績のある姫路のオールマイティを訪ね、他県の取組みなども含めて情報を得ることにしました。
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