愛媛県は鳥獣害対策に関する高い知識・技術を持ったエキスパートを育成し、地域の指導力強化を図るため、平成30年度から「えひめ地域鳥獣管理専門員制度」を創設しました。
本制度は、県の普及指導員や市町、JA職員等を対象に、基礎講座と実践講座を行い、一定の水準に達した受講生を鳥獣管理専門員として認定するもので、初年度にあたる今回は、県普及指導員5名、市町職員4名、地域おこし協力隊1名の計10名のエントリーがありました。
まずは、基礎講座(座学)では鳥獣害対策の基本となる知識を習得します。
受講生は、2日間にわたる講座で、「野生鳥獣による被害の現状」や「野生鳥獣の生態と被害防止対策」、「狩猟者の確保・育成対策」、「捕獲獣の有効活用」、「鳥獣被害防止特措法、鳥獣保護管理法等関係法令」などを研修しました。
続いて、実践講座では、株式会社野生鳥獣対策連携センターの阿部豪先生に総合的な指導をお願いし、現場指導のノウハウを学んでいきます。
最初に各担当集落における被害対策について、活動テーマ・活動計画を作成しました。
その後、各担当集落の現地調査を行いました。受講生は、阿部先生から農作物被害や獣道、足跡、糞、泥すり等の痕跡からの侵入ルートの特定や防護柵・箱罠の設置場所やポイント等について指導を受け、現場における現状分析方法や被害対策の導き方などを学びました。
受講生は、阿部先生のアドバイスをもとに地元猟友会の協力のもと、地域住民と連携して実践活動を進めています。
動画/阿部先生によるくくりわなの設置指導
実践講座では、現地調査に併せて定期報告会も行いました。報告会では、各受講生の活動経過や「うまく捕獲できない」、「侵入を止めるにはどうすればよいか」といった疑問について、阿部先生からひとつひとつ丁寧にアドバイスをいただきました。
報告会は、今後の実践活動を見直すと同時に、受講生間の意見交換・情報共有の貴重な機会になっています。
さらに、報告会の後には阿部先生によるミニ講座が実施され、ワイヤーメッシュ柵の設置・補修の方法や電殺機の作成と安全使用、電気柵の上手な使い方等を学びました。基本的な対策でありながら意外に知らない部分も多く、受講生の現場スキルの向上につながっています。
ここまで基礎講座2回、実践講座4回を実施しており、現在、受講生は集落での実践活動を熱心に行っているところです。今後は、1月に5回目の実践講座と修了試験を、2月に活動報告会を実施し、その結果をもとに審査を行い、鳥獣管理専門員を認定します。
なお、各受講生の活動内容については、「動画で見る捕獲マニュアル」で公開する予定です。