地元で摂れた野菜をふんだんに使ったヘルシーな創作和食で、特に女性からの支持が高い「Japanese Dining にの」では、意外にも県産ジビエの導入は2015年と早め。
たまたま知り合いから持ち込まれたイノシシを食べる程度だったオーナーシェフの二宮さんは、当時飲食店向けのイノシシの解体デモンストレーションを見て、その精度と技術に驚きます。
「その時に渡邊さんから頂いたイノシシ肉の処理が見事でした。解体体験に参加したことをきっかけに、この肉なら安全で美味しいはず、本格的にメニューに取り入れよう、と思いました。」
二宮さんは、必要な部位だけオーダーするのではなく、可能な限り半身で仕入れて店内でばらして調理をしています。鶏を捌いた経験しかなかったそうですが、渡邊さんの解体を参考に自分で捌いてみるようになったそう。捕獲後の適切な処理に加え、最良の状態で出荷されるため、店内で料理人がばらしてもロスがなくスムーズとのこと。骨やくず肉などは出汁を取るなどして無駄なく使え、コストを下げることができるそうです。
店内で提供するジビエメニューの開発について、「渡邊さんから提供されるお肉については、ジビエだから獣臭いという配慮は絶対いらない」とのこと。普通の肉と同じように、香味野菜との組み合わせで、煮込みやつみれ鍋風など馴染みのある和食スタイルがメインとなります。シンプルなきのことの炒めものなど、二宮さんらしい野菜をふんだんに使ったメニューが好評とのことです。
飲食メニューに加えて、2020年末には2種類のイノシシ料理を「おせち」に採用しました。
約1頭分をばらし、肩ロースとロースの部分を塩漬けしたあと燻製してベーコン風に仕上げたものと、バラ肉やももの部分を香味野菜としっかり煮込んでからミンチし、鶏レバー等と合わせてテリーヌにしたものです。
ベーコンは脂身が多く思えますが、豚の脂とはまったく異なるもので、きめの細かいゼラチン質が舌触りよく、脂の旨味だけが口に残るすっきりした味わいに仕上がっています。オリジナルの大葉味噌の風味がほのかなスモーク香を引き立てて、驚くほど相性が良いです。
テリーヌはたまねぎの他、数種類のハーブやスパイスを組み合わせており、イノシシ肉の野性味というよりは、滋味のある部分だけを抽出したような味わい。しっかりと「和」を感じさせる後味に仕上がっており、おせち料理として違和感は全く感じられません。
女性客が多い「にの」では、変わったメニューや新しい料理を好むお客様が多く、イノシシだけでなく、鹿を組み合わせたコースなども積極的に楽しまれています。ジビエシーズン中は事前に問い合わせすることで堪能できます。
高価な食材ではあるものの、骨以外を丸ごと使い切ることで、手ごろな価格で提供できるように試行錯誤し、それらの手間も楽しみながら商品開発をしているとのこと。
2号店としてオープンしたお弁当屋さんも好調で、テイクアウトへの業態移行もスムーズに進めています。メニューのバリエーションの一部として、今後も県産ジビエは可能性を伸ばし続けていきそうです。
Japanese Dining にの
http://www.japanese-dining-nino.com/
愛媛県三番町4-11-3 第二内海ビル 1F
089-934-0200
ランチ/月~金/11:30~14:30 (L.O. 14:00)
ディナー/金~土(月~木は応相談)/18:00~22:30 (L.O. 22:00)
定休日/日曜日、祝日不定休
※愛媛県等の新型コロナウイル感染拡大防止のための時短営業要請による変更の可能性あり