愛媛県農林水産部農産園芸課

えひめジビエが食べられるお店『割烹 さゝ紀』

 ジビエファイル  2023年08月31日

松山市の繁華街の一等地にある「割烹 さゝ紀」は愛媛県産素材にこだわった繊細な懐石料理で多くの食通を唸らせる日本料理の名店です。この道30年の笹田紀之さんは京都で修行を積んだのち、道後の老舗旅館「ふなや」でも腕を磨いた後、2016年に自身のお店を開業しました。

「懐石料理は一口目から最後の一皿まで食べていただいて完成するものですので、全体の流れの中で食材や調理法のバランスを考えています。」というコースには、地物の新鮮な魚介を中心とした厳選素材がふんだんに使われていますが、この日のお椀はなんと愛南町産の猪でした。

「日本料理、特に懐石の中でジビエを使うことは一般的ではないかもしれませんが、愛媛県産の選りすぐりの素材として選択することは十分可能な、素晴らしい食材です。」

笹田さんと愛媛県産ジビエとの出会いはコロナ前に遡り、酒店のイベントで愛南ジビエの木村さんが振舞った猪肉や鹿肉のバーベキューを食べたことでした。臭みは一切なく鮮度も抜群。当時はまだ獣肉処理施設の整備前だったため、愛南ジビエ開業後にすぐ連絡をしてお取引をスタートさせたと言います。

「鹿肉ならば蝦夷鹿の方が脂も旨味もあると思っていましたが、クセのない味わいは料理にも活き、なにより県外からのお客様に愛媛の極上の素材のひとつとしてアピールできる自信がありました。」ジビエの調理法を徹底的に調べ、試作を繰り返しながら「日本料理ならではのジビエの活かし方」を研究したといいます。

「愛南猪豆乳仕立て」は表面を焙ってから水と酒で2時間煮込み、さらに味付けをして2時間煮込んだもの。猪が食べたと思われる愛南町特産の河内晩柑の実と皮も一緒に炊き上げています。仕上げの柚子皮の香りが、愛南の山々の風景を思い起こさせます。

「鹿ロースの最中」は愛媛特産の麦みそベースのだしで真空調理したもの。脂が少なく固くなりがちな鹿肉を細かくしてから加熱することでふんわりと溶けるような食感に仕上がり、歯ごたえのある松の実のせんべいからは仄かな森の薫りがして実に相性抜群の一皿です。

「冬に比べて夏は美味しい魚が少なくなるため、バリエーションのひとつにジビエは重宝すると思います。魚同様に愛媛の自然に育まれた厳選食材のひとつとしてお客様に魅力をお伝えしていきたいと思います。」

割烹 さゝ紀

愛媛県松山市二番町1-10-8 クレセントビル 2F
089-998-3155

営業時間/18:00~23:00

定休日/不定休

※ご来店の際は前日までのご予約をお願いします
※ジビエメニューは事前にお問合せください