愛媛県農林水産部農産園芸課

えひめジビエが食べられるお店『ますや旅館オーベルジュ』

 ジビエファイル  2017年10月27日

オリンピックメダリストがほれ込む熟成ジビエ

 

↓愛媛県内有名シェフによる県産ジビエ料理を動画でご紹介しています。

今治市大西町にある「ますや旅館オーベルジュ」は隠れ家的なフレンチの名店です。地元では仕出し料理の老舗として知られ、お遍路さんも多数立ち寄る旅館ですが、すぐそばで採れる新鮮な海の幸だけでなく、イノシシ肉を使ったメニューが好評とのこと。しかもメイン以外の「シシ肉バリエ」が人気なのだそうです。

『もともと愛媛県産のイノシシ肉は取り入れてはいたのですが、上島町の熟成のイノシシ肉を紹介していただいて本当に驚きました。これで料理をしてみたい、と思う肉でした。』

意外にも女性からの人気も高く、これまで多くの人がもっていた「イノシシ料理」のイメージを覆す神原シェフのジビエ料理は、やわらかく、臭みもなく、旨みの濃い上島町の熟成イノシシ肉だからこそ、実現した味なのかもしれません。

これまで世界の大舞台で料理の腕を磨いてきた神原さん。2014年にはFHAシンガポール国際料理コンテストで銀メダルを、そして2016年にドイツエアフルトで開催されたIKA世界料理オリンピックでは日本代表として銅メダルを獲得した実力の持ち主です。
上島町獣肉加工会の熟成肉を使うようになってからは、精肉以外の未利用部位の活用や普及拡大のための加工品開発の監修をされています。昨年から着手した「上島産イノシシ肉の生ハム」も試作を繰り返したのちに完成し、早速ご自身の料理にも取り入れています。

生ハム作りで最もポイントになったのは「塩分濃度」。もともと塩辛いもの、というイメージの生ハムですが、ただ塩辛いだけでは肉そのものだけでなく合わせる素材の風味をも台無しにしてしまいます。せっかく旨みの強い熟成肉を使うなら、肉の旨みを引き出すような塩辛さを追求しよう、と頭を悩ませた末に完成した、自信作です。

『しし肉アミューズ』

まず一品目は「イノシシ生ハムのボール仕立て薩摩芋のピューレとともに」。

ほんのりとしたお芋の甘みとフレッシュな梨が旨みの濃い生ハムにぎゅっと包まれた一品。かわいらしいフォルムで優しい味わいのお料理ですが、しょうがのマリネが唯一野性味を想像させるアクセントになっています。

そして二品目は「しし肉のリエット 味噌風味ピンチョス仕立て」

上島町で問題となっていたのは精肉した後の「骨」の利用でした。加工会の精肉は精度が高く、ほんのわずかでも損傷がある部分や、最高品質でない部位は大胆に処分していたことから、有効利用できるはずの肉も使われないままでした。リエットはクラッシックなフランスの豚料理で、硬いモモ肉や骨周りの肉をブイヨンで煮込み、やわらかくほぐしてから調味してまとめたもの。今回は地元のお味噌をベースとした味つけで、どこかほっとする、懐かしい風味に仕上がっています。

もう一品は「しし肉のパテ クルートバター乗せ」

サフラン風味の栗ペーストに愛あるハート型の最中を添え、クルートバターで香り高く焼き上げた濃厚な味わいのパテ。温冷取り混ぜた、わくわくする一皿となりました。

クラッシックな料理をもう一皿。
「生ハムで巻いたシシ肉のテリーヌ フォアグラとともに ソース・グリビッシュ」
フォアグラを包み込んだ風味豊かなミンチ肉を、自慢の生ハムでさらに包んだオリジナル料理。たっぷりのイノシシブイヨンをベースに、オレンジピール、ドライフルーツ、ナッツを効かせた「肉の甘み」が感じられる仕上がりに、さっぱりとした口当たりの卵ソースが絶妙です。
地元「伯方の塩」のフルールドセルもアクセントに。

続いて登場したのは、黄金色に輝く温かいイノシシコンソメ。
骨とミンチで丁寧にとったクラッシックなコンソメに、旬のマツタケをこれでもかと加えた贅沢なスープは、その香りだけで十分な存在感。あえて乾燥させて旨みを凝縮したマツタケを加えることで、より濃く香りが広がるだけでなく、芳醇なスープを吸い込むことで美味しさも倍増。一度食べたお客様から翌年の予約が入るほどの、衝撃のごちそうスープです。

メインはバラ肉を自家製のデミソースでシチューにし、パートブリックという春巻き状の薄い皮で包み焼きしたもの。金柑ピューレ、モッツアレラチーズなど、幾重にも味を重ねた一皿です。ビーツ×グレープフルーツ、そしてオリジナルのゆず味噌のソースで、重厚ながらもさっぱりとした後口で楽しめます。

神原シェフのイノシシ料理を体験すると、「ジビエって贅沢なごちそうだな」と改めて実感させられます。鳥獣被害対策や、未利用部位の開発というフックはあったとしても、神原さんにとってイノシシ肉は純粋に「最高の食材」であり、最高の料理を実現するための重要なツールなのだということが伝わってきます。

これらのイノシシ料理は、季節に合った素材の組み合わせを変えながら一年中提供されています。シシ肉コースとしても、アラカルトでもお楽しみいただけます。ただし、ジビエは入荷が不定期なため、ご予約の際に必ずご確認ください。

「ますや旅館オーベルジュ」愛媛県今治市大西町宮脇甲1416−3

0898-53-2104